＞仰向けのまま、ボーっと天井を眺めている。ぼんやりした中、微かなアラーム音が耳に届いて、焦点が定まらない視界の前にゆっくりと体温計を持ってくる。「……三八度九分」示された体温を口にすると、それを掴んだまま右手がベッドの上へと落ちた。熱のせい…

＞最近、忘れられないあの時の光景を夢に見る。カルデラ状の山の頂で、私は茜色の空を、輝く陽の光が山稜へと消えていく光景を眺めている。昼と夜が混ざり合う、人ならざるモノに出逢うと言われるその時間……「カタワレ時……」言葉が重なる。逸る気持ちを抑え…

＞ 「瀧、立花瀧です」「私は三葉。宮水……三葉です」彼に名前を告げる。誰でもない、君に伝えたい。私の名前を…… 夏恋⑤ 私が君にできること。 「え、ええと……」瀧くんからの言葉を待っていると、さっきまでの勢いはどこへやら。顔を真っ赤にしながら口許を抑…

サイド三葉 開演…… ＞ 「なあなあ、東京行ったら何してみたい？」「うーんそうやねぇ…やっぱり某有名テーマパークとか行ってみたいな」「うん、いいねぇ、いいねぇ♪」「三葉は何してみたいん？」「私は……やっぱりカフェやさ♪お洒落なお店で、パンケーキとか…

＞終業式も間近に迫っている昼休み。流石に真夏日に屋上で昼飯という気にはならず、空調の効いた教室でいつものメンツ三人、集まって飯を食べている。「あのさ、」「ん、どうかしたか？」言うタイミングを見計らっていた俺の言葉に、高木と司が顔を上げた。…